前立腺疾患
前立腺疾患

前立腺は男性にのみ存在する臓器で、膀胱の出口付近で尿道を取り囲むように位置しています。そのため、前立腺に異常が起こると、真っ先に「おしっこの悩み」として症状が現れます。特に50代以降、多くの方が前立腺に何らかの課題を抱えるようになります。前立腺疾患には、良性の「前立腺肥大症」、炎症による「前立腺炎」、そして近年増加している「前立腺がん」などがありますが、これらは症状が非常に似通っています。「歳のせいかな」と自己判断せず、適切な検査で原因を切り分けることが、快適な生活への第一歩です。
前立腺に異常が生じると、主に以下の2パターンの症状が現れます。
※疾患によって、会陰部(股の間)の違和感、排尿時の痛み、発熱などを伴うこともあります。
1.前立腺肥大症
加齢とともに前立腺が大きくなり、尿道を圧迫する病気です。命に関わることはありませんが、放置すると尿が出なくなる「尿閉」や、腎機能の低下を招くことがあります。
2.前立腺がん
初期にはほとんど自覚症状がありません。そのため、血液検査(PSA検査)による早期発見が極めて重要です。早期に見つかれば、完治を目指せる選択肢が数多くあります。
3.前立腺炎
細菌感染や血流の停滞などにより、前立腺に炎症が起こる病気です。急性の場合は高熱が出ることもありますが、慢性化すると不快感が長く続くため、根気強い治療が必要です。
お1人おひとりの症状に合わせて、段階的に検査を進めます。
PSA検査(血液検査)
がんの可能性を数値で評価します。
尿検査
炎症や出血がないかを確認します。
超音波(エコー)検査
前立腺の「正確な大きさ」「形状」と、尿を「出し切れているか」をその場で確認します。
直腸診
医師が指で直接、前立腺の硬さや表面の滑らかさを確認し、がんの疑いや炎症を判断します。
診断結果に基づき、最適な治療を提案します。
前立腺肥大症の治療は、症状の程度や前立腺の大きさ、患者様の生活環境に合わせて段階的に進めていきます。まずは「お薬による治療」から開始するのが一般的ですが、根本的な解決を目指す場合には「手術治療」が非常に有効です。内服薬による治療(第一選択)現在は優れたお薬が複数あり、多くの方が薬の服用で症状を改善されています。
α1ブロッカー
尿道の筋肉の緊張を緩めて、尿の通りをスムーズにします。即効性があり、多くの患者様に処方されます。
5α還元酵素阻害薬
男性ホルモンの働きを抑えることで、大きくなった前立腺を「小さくさせる」薬です。数ヶ月かけてじっくりと効果が現れます。
PDE5阻害剤
尿道や前立腺の血流を改善し、排尿をスムーズにします。
その他
過活動膀胱の症状(頻尿など)を併発している場合は、膀胱を落ち着かせるお薬を併用することもあります。
薬を飲み続けても症状が改善しない場合や、尿が全く出なくなる「尿閉(にょうへい)」を繰り返す場合、また「一生薬を飲み続けるのを避けたい」という場合には手術を検討します。当院では、体への負担が少なく、再発率も極めて低い最新の手術法「HoLEP(ホーレップ)」を推奨しています。
尿道から内視鏡を挿入、レーザーで肥大した組織(内腺)を丸ごとくり抜く方法です。お腹を切らないため出血が少なく、高齢の方や持病のある方でも受けやすい手術です。
肥大した部分を完全に除去するため、従来の手術(TURP)や新しい低侵襲手術に比べて再発率が劇的に低いのが特徴です。
HoLEPは非常に高度な技術を要する手術ですが、当院では20年以上の実績を持つ熟練医が、新松戸の拠点で責任を持って執刀いたします。原則として1泊2日の入院で対応可能です。
前立腺がんは進行が比較的緩やかなことが多いため、がんの悪性度、ステージ(進行度)、年齢、ご本人の希望を総合して治療法を選びます。
監視療法
(待機療法)
おとなしいタイプのがんの場合、すぐに治療せず、定期的な検査(PSAや生検)で経過を観察します。副作用を避け、生活の質を保つ選択肢です。
ホルモン療法
(内分泌療法)
男性ホルモンががんの成長を促進するため、注射や内服薬でその働きを抑えます。当院で継続して行うことが可能です。
根治的治療
(手術・放射線)
手術(ダビンチなどのロボット手術)や放射線治療が必要な場合は、提携する高度医療機関をご紹介します。
※当院で「経会陰式前立腺生検」を正確に行うことで、最適な治療施設へのスムーズな橋渡しが可能です。
炎症の原因が「細菌」か「それ以外」かを見極めることが重要です。
急性前立腺炎の治療
高熱や強い痛みが出るため、強力な抗菌薬(抗生物質)の投与が必須です。重症の場合は点滴治療が必要になることもありますが、早めの対応で速やかに軽快します。
慢性前立腺炎の治療
細菌が原因でないケースも多く、根気強い治療が必要です。
内服薬
植物製剤(セルニルトンなど)や漢方薬、α1遮断薬などを用いて、炎症や筋肉のこわばりを和らげます。
生活指導
長時間のデスクワークや自転車を避け、会陰部を圧迫しない工夫や、入浴で血行を良くすることが非常に効果的です。「おしっこの悩み」は、生活の質に直結します。
毎日をより活動的に過ごすために、少しでも変化を感じたらお気軽にご相談ください。
年齢とともに尿の勢いが弱くなる方はいますが、前立腺肥大症によって尿道が圧迫されている可能性があります。尿が出始めるまで時間がかかる、途中で途切れる、お腹に力を入れないと出ないといった変化も受診の手がかりです。
泌尿器科専門医が症状の経過を伺い、前立腺だけでなく、膀胱の収縮する力や服用中の薬の影響も含めて原因を考えます。
風邪薬や鼻炎薬などに含まれる成分の一部には、膀胱の収縮を弱めたり、尿道を締めたりする働きがあり、前立腺肥大症の方では尿が出にくくなることがあります。すべての薬が該当するわけではないため、自己判断で服用を中止する必要はありません。
市販薬を購入するときは、前立腺肥大症の治療中であることを薬剤師へ伝えてください。
尿の出が急に悪くなったときは、受診時にお薬手帳などをご持参いただくと手掛かりになります。尿がまったく出ず、下腹部が張って痛む状態は早めの処置が必要です。
前立腺の大きさと症状の強さは、必ずしも一致しません。前立腺がそれほど大きくなくても尿道への圧迫が強い方がいる一方、大きくても困る症状が少ない方もいます。
エコー検査では前立腺の大きさや形に加え、排尿後に膀胱へ残っている尿の量も測れます。検査の数字だけでなく、日常生活でどの程度困っているかを合わせて治療の必要性を判断します。
前立腺肥大症と前立腺がんは別の病気で、肥大症がそのままがんへ変わるわけではありません。ただ、尿の出にくさや頻尿など、似た症状がみられることがあります。また、前立腺肥大症や前立腺炎でもPSA値が上がるため、数値だけで病気を決めることはできません。
必要に応じてPSA検査、エコー検査、直腸診などを組み合わせます。健診でPSA高値を指摘された方は、PSAが高いページをご覧ください。
症状についての質問票や問診に加え、尿検査、血液検査、エコー検査などを症状に合わせて行います。エコーでは前立腺の大きさと形、排尿後の残尿量を確認できます。
院内には尿化学分析装置とエコー設備があり、感染や血尿が隠れていないかも調べます。
検査前に尿を出し切ってしまうと残尿量などを確認しにくいため、可能であれば来院直前の排尿は控えてください。
服用する期間は、症状、前立腺の大きさ、残尿量、薬をやめたときの変化によって異なります。尿道周辺の緊張をゆるめる薬、前立腺を徐々に小さくする薬など、種類によって働き方や効果が現れるまでの時間も違います。
症状が落ち着いても、薬によって保たれている可能性があります。自己判断では中止せず、再診時の症状や検査結果を見ながら継続、変更、中止を考えます。
薬の種類や量が現在の状態に合っているかを見直す余地があるため、効かないと感じた時点ですぐ手術が決まるわけではありません。一方で、尿が出なくなる状態を繰り返す、残尿が多い、膀胱結石や尿路感染を繰り返す、腎機能への影響が疑われるときは、手術を含めた治療を検討します。
北柏で診察と検査を行い、内服を続ける場合と手術を行う場合の違いをご説明いたします。手術の方が適していると判断した場合は、新松戸本院と連携して進めます。
HoLEPは、尿道から内視鏡を入れ、ホルミウムレーザーで前立腺の肥大した組織を核出する手術です。お腹を切らずに、尿の通り道を広げることを目的としています。薬による治療で十分に改善しない方などが検討対象になりますが、前立腺の大きさや全身状態を確認して適応を判断します。
手術後には血尿、排尿時の痛み、一時的な尿漏れ、逆行性射精などが起こることがあり、まれに感染や尿道狭窄などの合併症もあります。期待できる改善だけでなく、こうした注意点も含めて説明を受けたうえで治療を選びます。
診察や検査、手術の相談は北柏でお受けいただけますが、実際の手術は桐友クリニック新松戸で行う形となります。
HoLEPを専門分野とし、新松戸で20年にわたり泌尿器科手術を行ってきた眞鍋理事長が、手術適応の判断や治療に関わります。北柏と新松戸で情報を共有しながら、受診先や日程をご案内しますので、ご希望があればお伝えください。
HoLEPは原則として1泊2日の入院で行います。新松戸本院で手術後、連携先の新松戸中央総合病院で1泊の入院となり、翌日に当院にて術後の経過を確認させていただきます。HoLEPの場合、手術後に尿道カテーテルを留置、出血や排尿の状態を確認する必要があるため、包茎手術などの日帰り手術とはご案内の流れが異なります。
入院期間や退院時期は、前立腺の大きさ、手術後の経過、持病によって変わることがあります。詳しい日程や術前に必要な検査は、新松戸本院での手術説明時に確認します。
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