過活動膀胱
過活動膀胱

過活動膀胱とは、膀胱が自分の意思に反して勝手に収縮してしまい、尿が十分に溜まっていない状態でも強い尿意を感じてしまう病気です。最大の特徴は、突然襲ってくる我慢をしがたい尿意(尿意切迫感)です。「トイレが間に合うか不安で外出が楽しめない」「夜中に何度も起きてぐっすり眠れない」といった悩みは、生活の質(QOL)を大きく低下させます。
加齢によるものと諦めてしまう方も多いですが、現在は非常に効果的な内服薬や生活指導があり、多くの方が症状の改善を実感されています。
尿意切迫感
急にトイレに行きたくなり、我慢するのが難しい状態です。
頻尿
日中の排尿回数が8回以上と多い状態を指します。
夜間頻尿
寝ている間に何度もトイレに起きる症状です。
切迫性尿失禁
トイレまで我慢できずに、尿が漏れてしまうことをいいます。
膀胱の筋肉が過剰に反応しやすくなる原因は、主に2つのタイプがあります。
1.神経のトラブル
脳卒中や脊髄の病気などにより、脳と膀胱を結ぶ神経の伝達が上手くいかなくなる場合。
2.それ以外の要因
加齢による変化や、男性では前立腺肥大症によって膀胱に負担がかかり、過敏になるケースが多く見られます。女性では骨盤底筋の緩みが影響することもあります。原因がはっきりと特定できない「非神経因性」の方が一般的です。
患者様の負担を最小限に抑え、他の病気(膀胱炎や結石など)が隠れていないか確認します。
問診・質問票
症状の程度を点数化して客観的に評価します。
尿検査
感染や血尿がないかを調べます。
超音波(エコー)検査
膀胱の形や前立腺の大きさ、そして「しっかり尿を出し切れているか(残尿)」を測定します。
※尿が残っているのに膀胱を抑える薬を使うと、かえって尿が出にくくなることがあるため、この「残尿測定」は非常に重要です。
1. 行動療法
水分摂取量の調整、カフェインやアルコールの制限、少しずつ排尿の間隔を広げる「膀胱トレーニング」などを行います。
2. 薬物療法
膀胱の異常な収縮を抑え、尿をしっかり溜められるようにするお薬(抗コリン薬やβ3作動薬)を処方します。最近は副作用(口の渇きなど)が少ないお薬も増えています。
3. 他疾患の治療
前立腺肥大症が原因の場合はそちらの治療を優先、または並行して行います。
「トイレが心配で旅行を諦めている」「映画やバス移動が怖い」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。お1人おひとりの生活リズムに合わせた治療法を一緒に考えていきましょう。
日中の排尿が8回以上というのが1つの目安です。ただし、水分をとる量や汗のかき方、服用中の薬によっても回数は変わります。8回より少なくても、以前より明らかに増えた、仕事や外出に支障が出ていると感じるなら、回数だけで「問題ない」と判断する必要はありません。
泌尿器科専門医が普段の排尿の様子を伺い、膀胱炎や前立腺疾患など、過活動膀胱以外の原因も含めて症状を整理します。
漏れていなくても、突然起こる我慢しにくい尿意は、過活動膀胱の中心となる症状です。「間に合っているから大丈夫」とは限らず、トイレの場所をいつも確認する、長時間の移動を避けるといった変化も症状の一部として考慮します。
診察では、尿意の起こり方に加えて、尿検査や排尿後の残尿測定を行い、感染症や尿の出しにくさが隠れていないかを確かめます。
過活動膀胱でも夜間の排尿は増えますが、原因はそれだけではありません。夜に作られる尿の量が多い、眠りが浅い、足のむくみがある、服用中の薬が影響しているなど、膀胱以外の問題が関係することもあります。
就寝時刻、夜中に起きた時刻、可能であれば尿量を数日記録しておくと、夜間の尿量が多いのか、少量でも目が覚めるのかを見分ける手がかりになります。診察では持病や生活の様子も伺いながら原因を考えます。
水分のとり過ぎで排尿回数が増えることはありますが、自己判断で極端に減らすと脱水につながります。まずは、何を、どのくらい飲んでいるか、を記録し、トイレへ行く回数を一緒に見直すことが大切です。
尿化学分析装置による尿検査やエコー検査、残尿測定の結果も踏まえ、膀胱の状態に合わせて水分のとり方を考えます。暑い時期や運動時まで一律に減らす必要はありません。
カフェインやアルコールには尿量の増加、膀胱を刺激する作用があるため、頻尿や急な尿意が強くなる方もいます。すべてを禁止するのではなく、飲んだ時間と症状の出方を見比べ、影響しているものから量や時間帯を調整してみる方法があります。
生活上の工夫だけで十分か、治療も組み合わせた方がよいかは症状の程度によって異なりますので、当院では、無理なく続けられる範囲から見直しをいたします。
外出前にトイレを済ませること自体は自然な行動です。ただ、少しでも心配になるたびに排尿する習慣が続くと、膀胱に十分な尿をためる前にトイレへ行く状態が定着し、間隔がさらに短くなることがあります。
過活動膀胱の治療では、生活に支障が出ない範囲で排尿間隔を少しずつ整える「膀胱トレーニング」を取り入れることがあります。無理に我慢する方法ではないため、現在の排尿間隔を確認してから進めます。
薬の種類によっては、口の渇きや便秘などが起こることがあります。症状や持病、ほかに服用している薬を確認しながら選ぶため、気になる副作用があれば我慢せず診察時にお伝えください。
また、排尿後も膀胱に尿が残っている方が膀胱の収縮を抑える薬を使うと、尿がさらに出にくくなることがあります。そのため、エコーによる残尿測定を行い、排尿の状態を確かめてから治療を考えます。
男性にも過活動膀胱は起こりますが、前立腺肥大症によって膀胱に負担がかかり、頻尿や急な尿意が生じていることもあります。尿の勢いが弱い、出し始めに時間がかかる、排尿後もすっきりしないといった症状があれば、前立腺の状態も確認が必要です。
エコー検査で前立腺の大きさや膀胱に残っている尿の量を調べ、どちらの治療を優先するかを考えます。詳しくは前立腺疾患ページをご覧ください。
症状が落ち着いていても、薬の効果によって安定している可能性があります。急に中止すると頻尿や尿意が戻ることもあるため、自己判断では止めず、排尿の状態を確認しながら減量や中止の時期を決めます。
再診では、日中と夜間の回数、我慢できる時間、尿漏れの有無などを確認します。服用後に尿が出にくくなったときは、次の受診日を待たずにお電話でご連絡ください。
症状が軽い方では、水分やカフェインのとり方を見直す、排尿間隔を少しずつ整える、骨盤底筋を鍛えるといった行動療法から始めることがあります。症状が強いときは、日常生活への影響を早めに減らすため、内服薬を組み合わせることもあります。
どの方法が合うかは、尿検査や残尿測定の結果、普段の生活によって変わります。続けにくい方法を一律に押しつけず、取り組める内容から治療を組み立てます。
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